GPT-5.6 Terraは、OpenAIのAPIでモデルID「gpt-5.6-terra」として提供されているモデルです。公式は、知能とコストのバランスを取りたい作業向けのモデルとして案内しています。結論から言うと、GPT-5.6ファミリーの中でSolほどの上限性能までは求めないが、Lunaより一段しっかり考えさせたい作業の置き場所がTerraで、Standardの短いコンテキストでは100万トークンあたり入力$2、出力$12が公式モデルページの表示です。
この記事では、OpenAI公式のモデルページ、料金ページ、GPT-5.6の開発者ガイド、ChatGPTとCodexのモデル解説に書かれている文言だけを土台に、Terraの位置づけ、仕様、API料金、向いている作業、使い始め方を整理します。すべての情報は2026年10月8日に公式ページから取得した内容です。料金や提供範囲は変わる可能性があるため、判断の直前に公式のGPT-5.6 Terraモデルページの最新表示と見比べてください。
名前の似たモデルが多いので、姉妹モデルの記事も用意しています。GPT-6系の旗艦はGPT-6 Astraの仕様と料金をまとめた記事、中間はGPT-6.1 Solの記事、効率重視はGPT-6 Lunaの記事で扱っています。本記事はGPT-5.6のTerraに絞り、公式ページで確認できた範囲で整理します。
GPT-5.6 Terraとは|公式が示す位置づけ
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GPT-5.6 Terraとは、OpenAIがGPT-5.6ファミリーの中で、知能とコストのバランスを取る作業向けに案内しているAPIモデルで、モデルIDは「gpt-5.6-terra」です。
公式のモデルページは、英語で「GPT-5.6 Terra is designed for workloads that balance intelligence and cost.」と説明しています。日本語にすると、知能とコストの釣り合いを取りたい作業負荷向けに設計されたモデル、という意味です。同じページには、以前のGPT-5系列で使われていたminiの階層にほぼ相当するという説明もあります(OpenAI「GPT-5.6 Terra」モデルページ、2026年10月8日取得)。
GPT-5.6の開発者ガイドは、命名の仕組みを次のように書いています。gpt-5.6というエイリアスはgpt-5.6-solに向き、Solは旗艦の性能向けです。強い性能をより低い価格で使うならgpt-5.6-terra、効率的な大量処理向けならgpt-5.6-lunaを使う、という並びです(OpenAI「Using GPT-5.6」、2026年10月8日取得)。
ここで押さえたいのは、Terraの説明が「中くらいの性能」といった順位づけではなく、知能とコストの釣り合いという選び方の軸で書かれている点です。取得した公式ページには、Terraを他のモデルと性能で数値比較した記載は見当たりませんでした。そのため、この記事でもTerraの性能の優劣は数字で断定せず、仕様と料金の比較にとどめます。
Sol・Terra・Lunaの関係とgpt-5.6エイリアスの注意点
GPT-5.6は、旗艦のSol、バランス型のTerra、大量処理向けのLunaの3モデルで構成され、「gpt-5.6」と書くとTerraではなくSolに向かう点が最大の注意点です。
3つのモデルの公式の説明を並べると、次のようになります。Solのモデルページは、以前のGPT-5系列で接尾辞のないモデルの階層にほぼ相当するとし、Terraはmini、Lunaはnanoの階層にほぼ相当すると書いています。階層の対応は公式の説明をそのまま写したもので、性能の序列を保証する表現ではありません。
| モデル | モデルID | 公式の位置づけ | 以前のGPT-5系列との対応 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | gpt-5.6-sol(エイリアスgpt-5.6の向き先) | 旗艦の性能向け | 接尾辞のないモデルの階層にほぼ相当 |
| GPT-5.6 Terra | gpt-5.6-terra | 知能とコストのバランス向け | miniの階層にほぼ相当 |
| GPT-5.6 Luna | gpt-5.6-luna | 効率的な大量処理向け | nanoの階層にほぼ相当 |
出典は、各モデルページ(GPT-5.6 Sol、GPT-5.6 Terra、GPT-5.6 Luna、いずれも2026年10月8日取得)と、開発者ガイドの命名の説明です。
実務で効くのは、エイリアスの扱いです。コードに「gpt-5.6」とだけ書くと、リクエストはSolに向かいます。費用を抑えるつもりでTerraを使いたいのに、エイリアスのまま書いてしまうと、意図せずSolの単価で動く形になります。Terraを使うなら、モデルIDを「gpt-5.6-terra」と明示してください。
一つ前の世代からの移行を検討している方は、GPT-5.5の提供終了と後継モデルを比較した記事も参考になります。GPT-5.5からの乗り換え先としてGPT-6系とGPT-5.6を並べて整理しています。
GPT-6系との関係|名前が似た別系統の見分け方
GPT-5.6とGPT-6系は、公式の料金ページで同じ「最新モデル」の表に並ぶ別々のモデル群で、SolとLunaという同じ接尾辞が両方にあるため、数字まで含めて名前を読む必要があります。
公式のモデル一覧には、GPT-5.6 Sol・Terra・Lunaと、GPT-6 Astra・GPT-6.1 Sol・GPT-6 Lunaが別の項目として載っています。GPT-6の開発者ガイド「Using GPT-6」は、GPT-6 Astraを最も高い知能向け、GPT-6.1 Solを速度・コスト・知能のバランス型、GPT-6 Lunaを速さとコスト効率重視の位置づけで並べています(OpenAI「Using GPT-6」、2026年10月8日取得)。
ChatGPTとCodexのモデル解説ページには、「GPT-5.6 Sol, GPT-5.6 Terra, and GPT-5.6 Luna remain available during the rollout.」という英語の記載があります。GPT-5.6の3モデルは、ロールアウトの期間中も引き続き使える、という意味です(OpenAI「Codex Models」、2026年10月8日取得)。公式ページには、TerraがGPT-6系のどのモデルの後継に当たるかを示す記載は見当たりませんでした。そのため、後継や上位互換といった関係は書きません。
数字で比べられる範囲を表にまとめます。次の表は、公式の料金ページにあるStandard・短いコンテキスト(入力が27万2千トークン以下)の単価で、通貨は米ドル、単位は100万トークンあたり、取得日は2026年10月8日です。
| モデル | 入力 | キャッシュ入力 | 出力 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Terra | $2.00 | $0.20 | $12.00 |
| GPT-5.6 Sol | $4.00 | $0.40 | $20.00 |
| GPT-5.6 Luna | $0.20 | $0.02 | $1.20 |
| GPT-6.1 Sol | $2.00 | $0.10 | $10.00 |
| GPT-6 Luna | $0.10 | $0.01 | $0.50 |
| GPT-5.5(入力27万2千トークン未満) | $5.00 | $0.50 | $30.00 |
出典はOpenAIのAPI料金ページ(2026年10月8日取得)です。表を読むときの注意として、単価の近さと性能の近さは別の話です。たとえばGPT-6.1 SolはTerraと入力単価が同じ$2.00ですが、2つの性能を比べた記載は取得した公式ページに見当たらず、この記事では優劣を述べません。実際の作業で同じ入力を流して比べる手順は、後の節で説明します。
モデルIDと基本仕様を表で確認する
GPT-5.6 Terraの既定のスナップショットは「gpt-5.6-terra」の1種類で、コンテキストウィンドウは1,050,000トークン、最大出力は128,000トークン、入力はテキストと画像、出力はテキストです。
公式モデルページに載っている基本仕様は次のとおりです。API呼び出しでは、リクエストのmodelにこのIDを指定します(OpenAI「GPT-5.6 Terra」モデルページ、2026年10月8日取得)。
| 項目 | 公式ページの記載 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| モデルID・スナップショット | gpt-5.6-terra | スナップショットも同名の1種類のみ |
| 入力形式 | テキスト、画像 | 音声や動画を入力するモデルではない |
| 出力形式 | テキスト | 画像や音声を出力するモデルではない |
| コンテキストウィンドウ | 1,050,000トークン | 1回のやり取りで同時に扱える量の上限 |
| 最大入力トークン | 922,000 | 1回のリクエストで送れる入力の上限 |
| 最大出力トークン | 128,000 | 1回の応答で返せる出力の上限 |
| 知識カットオフ | 2026年2月16日 | それ以降の出来事は検索ツールなどで補う |
| 推論トークン | 対応 | reasoning.effortで考えさせる量を調整する |
初めて読む方のために言葉を補うと、トークンとは、モデルが文章を数える単位です。コンテキストウィンドウは、1回のやり取りでモデルが同時に扱える量の上限だと考えると分かりやすくなります。日本語の文字数とは一対一では対応しないため、長い資料を丸ごと読ませたい場面では、まず送る資料が入力の上限に収まるかを、トークン数で見てください。
SolとLunaのモデルページでも、コンテキストウィンドウは1,050,000、最大入力は922,000、最大出力は128,000、知識カットオフは2026年2月16日と表示されています(GPT-5.6 Solのモデルページ、GPT-5.6 Lunaのモデルページ、2026年10月8日取得)。つまりGPT-5.6の3モデルは、これらの仕様では差がなく、違いは単価、公式が示す位置づけ、得意な作業の設計にあります。
対応エンドポイント・機能・ツール|できないことも先に確認する
Terraが使えるエンドポイントは、Chat Completions、Responses、Batchの3つで、リアルタイム系、ファインチューニング、埋め込み、画像生成のエンドポイントなどは非対応と表示されています。
モデルページのEndpointsの表では、v1/chat/completions、v1/responses、v1/batchがSupportedで、Realtime、Assistants、Fine-tuning、Embeddings、Image generation、Moderationなどはいずれも「Not supported」です。たとえば文書の意味検索のために埋め込みベクトルが必要なら、Terraではなく埋め込み用のモデルを使う設計になります。埋め込みAPIの詳細はOpenAI Embeddings APIの使い方をまとめた記事で扱っています。
| 区分 | 公式ページに載っている項目 |
|---|---|
| 使えるエンドポイント | Chat Completions、Responses、Batch |
| 非対応のエンドポイント(一部) | Realtime、Assistants、Fine-tuning、Embeddings、Image generation、Moderations、Completions(旧式) |
| 対応機能 | streaming、structured_outputs、function_calling、file_search、image_input、web_search、prompt_caching |
| Responses APIで使えるツール | web_search、file_search、image_generation、code_interpreter、hosted_shell、apply_patch、skills、computer_use、mcp、tool_search |
表の出典はGPT-5.6 Terraのモデルページ(2026年10月8日取得)です。読み分けとして、機能の項目と、ツールの項目は別の欄です。たとえば出力をJSON Schemaに固定するstructured_outputsは機能の欄に載っています。関連する設計手順は構造化出力の使い方の記事とFunction callingの設計手順の記事にまとめています。
なお、GPT-5.6の開発者ガイドには、Programmatic Tool CallingやMulti-agent(ベータ)といった新機能が書かれています。ただし、これはGPT-5.6全体の紹介であり、取得したTerraのモデルページのツール一覧にはprogrammatic_tool_callingという名前は載っていませんでした。使いたい機能がある場合は、Terraで使えるかを公式モデルページと該当の機能ガイドで確認してください。
API料金|Standard・Batch・Fastと長いプロンプトの条件
TerraのAPI料金は、Standardの短いコンテキストで100万トークンあたり入力$2、キャッシュ入力$0.20、出力$12で、27万2千トークンを超える入力では単価が上がります。
次の表は、公式の料金ページにあるGPT-5.6 Terraの単価です。通貨は米ドル、単位は100万トークンあたり、取得日は2026年10月8日です。短いコンテキストは入力が27万2千トークン以下、長いコンテキストは27万2千トークンを超える場合と定義されています(OpenAI「Pricing」、2026年10月8日取得)。
| 処理の種類 | 短い入力 | 短いキャッシュ入力 | 短い出力 | 長い入力 | 長い出力 |
|---|---|---|---|---|---|
| Standard | $2.00 | $0.20 | $12.00 | $4.00 | $18.00 |
| Batch | $1.00 | $0.10 | $6.00 | $2.00 | $9.00 |
| Fast | $4.00 | $0.40 | $24.00 | $8.00 | $36.00 |
表の読み方を3点に分けます。1点目に、BatchはBatch APIで使う料金区分で、表の数字ではStandardの半額にあたります。仕組みと使いどころはBatch APIの使い方をまとめた記事で扱っています。2点目に、Fastは同じ表でStandardの2倍の単価です。3点目に、長いコンテキストの単価について、モデルページ(英語)には、27万2千トークンを超えるプロンプトはそのリクエスト全体で入力が2倍、出力が1.5倍で課金されるという趣旨の説明があります。27万2千トークンを1つでも超えると、超えた分だけでなくリクエスト全体の単価が上がる点に注意してください。
プロンプトキャッシュにも条件があります。モデルページには、キャッシュの書き込みは通常の入力単価の1.25倍で課金されると記載されています。キャッシュ入力の単価が安いことだけを見て導入すると、書き込みの費用が増えることがあります。仕組みはOpenAI APIのプロンプトキャッシュ活用法の記事で詳しく説明しています。
費用の見積もり方|仮の例で1万件を処理した場合
API費用は「入力トークン数に入力単価を掛けた額」と「出力トークン数に出力単価を掛けた額」の合計で見積もれるため、処理する件数と1件あたりのトークン数が分かればモデル同士を並べて比べられます。
次の表は、実在の事例ではなく、計算の流れを示すための仮の例です。1万件の依頼を処理し、1件あたり入力2,000トークン、出力500トークンとします。合計は入力2,000万トークン、出力500万トークンです。単価は前の節で示したOpenAIのAPI料金ページの表示(2026年10月8日取得、米ドル、100万トークンあたり)を使い、キャッシュと推論トークンは含めていません。
| モデルと区分 | 入力の計算 | 出力の計算 | 合計 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Terra・Standard | 20 × $2 = $40 | 5 × $12 = $60 | $100 |
| GPT-5.6 Terra・Batch | 20 × $1 = $20 | 5 × $6 = $30 | $50 |
| GPT-5.6 Sol・Standard | 20 × $4 = $80 | 5 × $20 = $100 | $180 |
| GPT-5.6 Luna・Standard | 20 × $0.20 = $4 | 5 × $1.20 = $6 | $10 |
この仮の例から読み取れるのは、同じ件数でもモデルと処理区分で費用が大きく変わることです。ただし、品質が同じとは限りません。表の安い行を選ぶ前に、その品質で業務の基準を満たすかを確認する必要があります。推論トークンが課金上どう扱われるかは、この記事では公式の推論ガイドで確認できていないため、実際の請求額は試験運用の使用量表示で確かめてください。
長いプロンプトの影響も、仮の例で見ておきます。単価は同じ料金ページの表示(2026年10月8日取得、米ドル、100万トークンあたり)です。入力27万2千トークン、出力2,000トークンの1回のリクエストは、Standardの短い単価で0.272 × $2 + 0.002 × $12 = 約$0.568です。入力30万トークンに増えると、リクエスト全体が長い単価(入力$4、出力$18)になり、0.3 × $4 + 0.002 × $18 = 約$1.236です。入力が10%ほど増えただけで、費用は2倍以上になる計算です。長い資料を渡す設計では、27万2千トークンの手前で資料を絞れないかを先に検討してください。
ChatGPT・Codex側のクレジット料金とGPT-5.5の退役
ChatGPTのプランやCodexの利用ではAPIのドル単価ではなくクレジットで消費量が示され、GPT-5.6 Terraは100万トークンあたり入力50、キャッシュ入力5、出力300クレジットと公式に表示されています。
Codexの料金ページには、Standardスピードでのクレジット単価の表があり、入力、キャッシュ入力、出力のそれぞれが100万トークンあたりのクレジット数で示されています。同じページには、GPT-5.6 Sol、Terra、Lunaの単価は据え置きという記載もあります(OpenAI「Codex Pricing」、2026年10月8日取得)。
| モデル | 入力(100万トークンあたり) | キャッシュ入力 | 出力 |
|---|---|---|---|
| GPT-5.6 Sol | 100クレジット | 10クレジット | 500クレジット |
| GPT-5.6 Terra | 50クレジット | 5クレジット | 300クレジット |
| GPT-5.6 Luna | 5クレジット | 0.5クレジット | 30クレジット |
クレジットとドルの換算は、この取得ページからは確認できなかったため、換算はしません。クレジットだけでは、サブスクリプションに含まれる利用量が決まるわけではない、という趣旨の注記もあるため、利用状況は公式の使用量ダッシュボードで確認してください。
もう一つ、ChatGPT側の変更も重要です。公式のモデル解説ページによると、2026年10月14日にGPT-5.5がChatGPT、ChatGPT Work、Codexのすべてのプランで退役します。API側の退役ではないと明記されています。ChatGPTやCodexで保存済みのモデル設定にGPT-5.5を使っている場合は、移行先を選び直す必要があります。詳しい比較はGPT-5.5の提供終了と後継モデルの比較記事にまとめています。料金プラン全体の整理はChatGPT料金プランの比較記事が参考になります。
Terraが向いている作業と、SolやLunaを選びたい作業
Terraが向いているのは、Lunaでは品質が足りないがSolの単価までは必要ない作業で、その線引きは公式が個別の業務を保証するのではなく、自分の作業を同じ入力で試して決める判断です。
公式の英語の説明を要約すると、Sol、Terra、Lunaは、旗艦の性能、知能とコストのバランス、効率的な大量処理という軸で分けられています。個別の業務名と結びつけた保証はありません。そこで、次の表は公式の軸を自分の作業に当てはめるための読み方の例です。左端の作業は、公式が名指ししたものではなく、仮の例として置いた架空の業務です。
| 仮の作業例 | まず試す候補 | そう考える理由(公式の軸との対応) |
|---|---|---|
| 問い合わせメールの分類を大量に回す | Luna | 効率的な大量処理という軸に合う。分類の正解の形が決まっている前提 |
| 社内資料を読み込んで論点を整理する下書きを作る | Terra | 知能とコストの釣り合いという軸に合う。人の確認を前提にした下書き |
| 複数の条件が絡む難しい設計判断の相談 | Sol | 旗艦の性能という軸に合う。誤りのコストが高い場面 |
| 日次で回す定型レポートの要約 | Luna、足りなければTerra | まず安い側で試し、品質の基準を満たさない場合に一段上げる |
表の「理由」は、公式の三つの軸と作業の性質の対応を私たちが整理したものです。モデルの性能を比較した公式データに基づく結論ではありません。選ぶときの基本の手順は、次の流れです。
- 実際の依頼文と、期待する出力の良い例を、代表的なものから選んで用意する。
- Luna、Terra、Solに同じ入力を流し、出力を見比べる。
- 業務の基準を満たす中で最も安い組み合わせを、候補にする。
- 候補のモデルで、reasoning.effortを一段下げた設定も試す。
- 使用量の表示から、実際のトークン数と費用を確認する。
開発者ガイドも、GPT-5.5やGPT-5.4から移行するときは、現在の推論設定から始め、同じ設定と一段低い設定を代表的な作業で試すよう案内しています。モデルを選ぶ作業と推論の強さを選ぶ作業は、セットで行うのが公式の考え方に近い形です。
使い始め方|Responses APIで最初の1回を動かす
Terraを使い始めるには、Responses APIのリクエストでmodelに「gpt-5.6-terra」を指定し、必要ならreasoning.effortを添えて、最初は短い入力で動作と使用量を確かめます。
GPT-5.6の開発者ガイドは、推論、ツール呼び出し、複数ターンの作業にはResponses APIを使うよう案内しています(OpenAI「Using GPT-5.6」、2026年10月8日取得)。Chat Completionsとの違いはResponses APIとChat Completionsの違いを整理した記事で説明しています。次はPythonでの最小の例です。APIキーは環境変数に置き、コードに直接書かないでください。
from openai import OpenAI
client = OpenAI()
response = client.responses.create(
model="gpt-5.6-terra",
reasoning={"effort": "medium"},
input="次の問い合わせ文を、返信の優先度(高・中・低)に分類し、理由を1文で添えてください。"
)
print(response.output_text)
print(response.usage)
この例のポイントは3つです。modelにはエイリアスではなく「gpt-5.6-terra」を指定します。reasoning.effortには、モデルページの記載どおり、none、low、medium、high、xhigh、maxのいずれかを渡せます。最後のresponse.usageで入力と出力のトークン数を確認し、前の節の計算式に当てはめれば、1件あたりの費用が見えます。コードは公式の記載に沿った最小の形の例で、実際の運用ではエラー処理やリトライ、ログの設計が別に必要です。
最初の動作確認で見るのは、出力の品質、使用トークン数、応答までの時間の3点です。この3点を記録しておくと、あとでeffortを下げたりモデルを変えたりしたときに、比較の基準になります。
reasoning.effortとキャッシュの設定で費用と品質を調整する
TerraはreasoningのeffortをnoneからmaxまでAPIで切り替えられ、既定はmediumで、設定を一段下げる試験とキャッシュの使用量の確認が、費用を調整する公式の標準的な手順です。
モデルページには、reasoning.effortがnone、low、medium(既定)、high、xhigh、maxに対応すると書かれています。開発者ガイドの移行手順では、mediumを均衡の取れた出発点、レイテンシに敏感な作業にはlowを使う、とされています。highやxhighは、推論を増やして品質の向上が測定できた場合に使い、maxは最も難しい品質優先の作業に限る、という整理です。noneを使っている場合は、レイテンシの基準として残しつつ、lowも試すよう書かれています。
| 設定 | 公式ガイドの使い方の目安 |
|---|---|
| none | レイテンシの基準として維持し、推論やツール利用が役立つ作業ではlowも試す |
| low | レイテンシに敏感な作業 |
| medium | 均衡の取れた出発点(モデルページの既定値) |
| high、xhigh | 推論を増やして品質の向上が測定できる場合に使う |
| max | 最も難しい、品質優先の作業に限る。xhighと比較して決める |
表の出典は、開発者ガイドの移行の節です(OpenAI「Using GPT-5.6」、2026年10月8日取得)。表現は要約です。
キャッシュについては、ガイドがcached_tokensとcache_write_tokensを追跡して、正味の費用を把握するよう案内しています。書き込みが通常入力の1.25倍で課金されるため、再利用されない長いプロンプトにキャッシュを広く使うと、かえって費用が増える場合があります。再利用する見込みのある共通部分だけを対象にし、使用量の表示で効果を確かめてください。
利用前に知っておきたい制約と注意点
Terraの利用で先に確認したい点は、リクエストが保護機能で止まる場合があること、非対応のエンドポイントがあること、利用ティアごとにレート制限が決まっていることの3つです。
1つ目は、保護機能です。開発者ガイドは、GPT-5.6のモデルを使うときに、サイバーや生物に関する悪用を見分けるリアルタイムの分類器によって、一部のリクエストが遮断または拒否される場合があると説明しています。正当な作業でも、攻撃と防御が似て見える領域では介入が起きることがある、とも書かれています。個々のエンドユーザーに向けたアプリを作る場合は、安定していて個人を特定しにくいsafety_identifierをリクエストごとに送るよう案内されています。
2つ目は、非対応のエンドポイントです。前の節のとおり、埋め込みやファインチューニングなどには使えません。3つ目は、レート制限です。Terraのモデルページには、利用ティアごとの制限が表で載っています。
| ティア | RPM(1分あたりのリクエスト数) | TPM(1分あたりのトークン数) | Batchのキュー上限 |
|---|---|---|---|
| Build | 5,000 | 1,000,000 | 3,000,000 |
| Launch | 10,000 | 4,000,000 | 200,000,000 |
| Grow | 15,000 | 40,000,000 | 15,000,000,000 |
表の出典はGPT-5.6 Terraのモデルページ(2026年10月8日取得、Standardの表)です。ページには、利用ティアが使用量と支出に応じて自動的に上がると説明されています。自分のアカウントのティアは、アカウント側の表示で確認してください。モデル全体の選び方を広く知りたい場合は、ChatGPTの最新モデルの違いと使い分けをまとめた記事も役立ちます。
最後に、Solの価格については、Solのモデルページ(英語)に、プロモーション価格は少なくとも2026年11月21日まで利用できるという趣旨の記載があります。この記事の比較表と計算例で使ったSolの入力$4・出力$20は、このプロモーション価格の表示です。Terraのページにはこの記載がありません。SolとTerraの差額を長期の計画に使う場合は、料金ページの最新表示を定期的に見直してください。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 「gpt-5.6」と指定するとTerraが使われますか。
- いいえ。公式の開発者ガイドには、gpt-5.6というエイリアスはgpt-5.6-solに向かうと書かれています。Terraを使うときは「gpt-5.6-terra」を明示してください(OpenAI「Using GPT-5.6」、2026年10月8日取得)。
- Q2. GPT-5.6 TerraのAPI料金はいくらですか。
- Standardの短いコンテキスト(入力27万2千トークン以下)では、100万トークンあたり入力$2、キャッシュ入力$0.20、出力$12です。通貨は米ドルで、2026年10月8日時点の表示です。27万2千トークンを超える入力ではリクエスト全体の単価が上がります(OpenAI「GPT-5.6 Terra」モデルページ、2026年10月8日取得)。
- Q3. TerraはどんなときにSolやLunaより向いていますか。
- 公式の軸では、Solは旗艦の性能、Terraは知能とコストのバランス、Lunaは効率的な大量処理です。向き不向きを業務ごとに断定した記載はないため、同じ入力で3つを比べ、業務の基準を満たす中で最も安い組み合わせを選ぶ手順を勧めます。
- Q4. 埋め込みやファインチューニングに使えますか。
- モデルページのエンドポイントの表では、EmbeddingsとFine-tuningはどちらも非対応と表示されています。埋め込みが必要な場合は、専用のモデルとAPIを使う形になります。
- Q5. 画像を入力できますか。
- はい。モデルページの入力形式にはテキストと画像が載っています。出力はテキストのみです。画像の扱いに関する細かい条件は、公式の画像入力のガイドで確認してください。
- Q6. ChatGPTでもTerraを選べますか。
- ChatGPTとCodexのモデル解説ページには、GPT-5.6 Terraがロールアウト中も引き続き使えるという趣旨の記載と、Codexのクレジット単価の表があります。どのプランやクライアントの画面で選べるかは、取得したページからは確認できなかったため、自分の画面の表示を確認してください(OpenAI「Codex Models」、2026年10月8日取得)。
まとめ
GPT-5.6 Terraは、OpenAIが知能とコストのバランスを取る作業向けに案内する、GPT-5.6ファミリーのモデルです。モデルIDは gpt-5.6-terra、コンテキストウィンドウは1,050,000トークン、最大出力は128,000トークンで、入力はテキストと画像、出力はテキストです。Standardの短いコンテキストのAPI料金は、100万トークンあたり入力$2、キャッシュ入力$0.20、出力$12です(OpenAI「GPT-5.6 Terra」モデルページ、2026年10月8日取得)。
選ぶときの基本は、gpt-5.6がSolに向かうことを踏まえてモデルIDを明示し、代表的な入力でLuna、Terra、Solを比べて、業務の基準を満たす中で最も安い組み合わせを選ぶことです。27万2千トークンを超える入力で単価が上がる点、EmbeddingsやFine-tuningが非対応である点、ChatGPTとCodexではクレジットで消費が示される点も、使い始める前に押さえてください。料金や提供範囲は変わる可能性があるため、判断の直前に公式ページの最新表示を見てください。
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